2020年のIT・AI分野はどうなるか?

令和最初の正月、オリンピックイヤー2020年を迎えました。仕事始めも無事終わり、すっかり普段の日々に戻りつつあります。

私は地元・福岡で年を越しましたが運悪くインフルエンザに罹患してしまい、数え年で42歳の男の大厄の本厄は波乱の幕開けとなってしまったところが残念というか、やはり大厄の力は恐るべしといったところか…。

何はともあれ、旧年中は大変お世話になりました。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

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今年初めてのまとまった投稿ということで、2020年のIT・AI分野の展望を考えてみましょう。

ここ数年のAIブーム・AIバブルはそろそろ萎んでくるでしょう。ガートナーの発表しているハイプサイクルにおいても、AIは幻滅期に入っており、今年中には期待の底を打ちそうな勢いです。逆に底を打たずに底なし沼にはまってしまうと第3次AIブームはまたしてもブームだけで終わってしまうことになるわけで、AI業界(というものがあるのかどうかは別として)は正念場を迎えているといえます。

ここ数年のAIブームは、メディアのセンセーショナルな報道姿勢と各ベンダーのマーケティング施策が相乗効果を発揮した感が多分にあります。その結果、AIの実用というよりも経営層の興味と乗り遅れへの不安から旺盛なPoC需要を生み、それでAI業界は潤ったというのが実際のところでしょう。しかし、いつまでもPoC需要が続くとは思えず、AIの実効性が問われる時期に入っていると見るべきです。

ITコーディネータという立場から言えば、主な支援先である中小企業はコストパフォーマンスに特に敏感であり、IT分野においては横並び的な発想が拭えない現実もあることから、AI導入にはかなり消極的であると言わざるを得ません。

そもそもAIに何が期待できるか、実際に何をやらせるのかは、分かっていない企業が大多数と言っても過言ではないでしょう。それすら分かっていない企業がPoC以上のAI投資を行うことは不可能であり、ともかくAIで何ができるかの理解が経営層の肚落ちレベルまで進み、その効用が現実化した事例を積み上げることが何より重要といえます。

まず、AIの誤解を解く必要があるでしょう。その誤解とは、突然AIなるものがやってきて人間の仕事を奪うことはないということです。AIを導入するには前段としてITシステムが必要であり、ITシステムの一部にAIが組み込まれるにすぎないということを知らなければなりません。

AIが犬と猫を見分けたからと言って、それが何だというのか?という疑問を持たないといけません。画像認識はAIの成功事例としてよく取り上げられる技術ですが、一般企業のビジネスフローの中で画像認識はどこで用いられ、何をどのように自動化したり効率化したりできるのか?つまり、ビジネスフローをIT化していく中で、そのどこかにAIが組み込まれるだけであって、ビジネスフローがまるごとAI化するということはまずあり得ないわけです。

逆にいえば、ビジネスフローの中でどこかに従来どおりの技術ではIT化が難しい領域があって、それは「特定の人の目で見ないと分からない」とか「特定の人の経験をもとにしか判断できない」といった領域です。いままでのITが関心外としてきた分野であって、そうした分野こそ、AIによる恩恵を必要としていて、導入効果も大きいところです。

まず、そうした分野がどこにあるのかを気づくことがAI導入を考えるうえで最も重要といえますし、AIの社会実装が進む年に2020年がなるのだとしたら、そうした地道な取り組みが進む1年にしなければなりません。

なんだか、今年の予想というよりも、今年やらねばならない意気込みのような内容になりましたが、私自身がその先鞭となれるよう頑張りたいと思います。

この記事を書いた人

井上 研一

経済産業省推進資格ITコーディネータ/ITエンジニア。株式会社ビビンコ代表取締役。
北九州市出身、横浜市在住。AIやIoTに強いITコーディネータとして活動。北九州市主催のビジネスコンテスト「北九州でIoT」に応募したアイディアが入選し、メンバーと株式会社ビビンコを創業。著書に「初めてのWatson」、「ワトソンで体感する人工知能」など。日本全国でAI・IoTなどをテーマにしたセミナーや研修講師での登壇多数。