Twitterのトラフィック問題はいつ解決するのか

最近、Twitterが落ちることが多くなっているように思いませんか?
いざツイートしようと思っても失敗してしまう。Twitterクライアントでタイムラインが更新されていなくていちばん上のツイートが10時間前になっている。手動更新しようとしても更新に失敗してしまう。最近、こういう事態に遭遇することが多くなっています。
こうした事態はいつ解決するのでしょうか。Twitter社の対応は続いています。一方で、オープンプロトコル化という究極の解決策を提案する人もいます。

ツイートや更新の失敗はTwitterのサーバが落ちていることもありますが、それよりもAPIの実行回数制限に引っかかることが多いです。APIとはTwitterクライアントがTwitterサーバと通信をする際に使用するやりとりの方法で、何かやりとりするたびにTwitterクライアントはAPIを発行します。こうしたAPIの実行回数制限は多くのWebサービスで適用され、トラフィックが集中しすぎてサーバが落ちることを防いでいます。サーバが落ちると何も出来なくなるので、1人のユーザからの実行回数を制限して、みんなが使えるようにします。
TwitterのAPIの実行回数制限は2007年に導入され、最初は60分で70回でした。2010年3月時点では60分で150回と、当初よりは制限が緩くなっています。そのぶんTwitterはサーバの増強などに取り組んでいるわけですが、それでも現実にはツイートや更新の失敗は増えているように感じます。
そもそもTwitterのユーザ数はどうなっているのでしょう。2010年4月のTechCrunchの記事によると、ユーザ数は1億人を突破しており、1日に30万人が増えているのだそうです。また1日のアクセス数は30億を超えており、そのうち75%がTwitter.com以外からのアクセス(つまりAPIの実行)です。これはとんでもない数字です。エンジニア目線で見れば、どうやって処理しているのかさっぱり分からないほどです。(まぁ、私はインフラ系のエンジニアじゃないから分からないのだと思いますが。)
TwitterはNTT Americaのデータセンターを使用して大量のトラフィックを処理しています。7月22日にはついに自前のデータセンターを稼働させる計画があることを明らかにしました。

Twitterは7月21日、年内に自社専用のデータセンターを稼働させる計画を明らかにした。
新しいデータセンターはソルトレークシティに作られる。専用データセンターを持つことで、急速に増え続けるトラフィックに対応するためのキャパシティを増やし、ネットワークやシステムの構成を完全にコントロールできるようになり、インフラを迅速に、柔軟に調整できると同社は述べている。
Twitter、自前のデータセンター稼働へ 信頼性向上を目指す – ITmedia News

今後もNTT Americaとの協力を続けつつ、自前のデータセンターも増やして、複数のデータセンターで大量のトラフィックに対応するとのことです。Twitterユーザの一人として、これでTwitterの信頼性が向上し、トラフィック過多による問題が解決されるのなら、とても嬉しいことです。
しかし、これからもさらにユーザが増え、Twitterをベースにしたサービスが続々と登場するだろうと考えると、まだ不安は残ります。仮にTwitterがトラフィック問題の解決に失敗したなら、別のサービスが登場してユーザを根こそぎ奪っていくということも考えられます。とはいえ、Twitterは一種のインフラのようになっており、1つのサービスの上にユーザが集まっているからこそ意味があるのです。結局、ユーザを奪うことに成功した別サービスが表れたとしても、その別サービスはいまのTwitterと同じ問題に立ち向かわなければなりません。
GigaOMのMathew Ingram氏は一つの画期的な提案をしています。

Twitterはそのテクノロジを世界全体に分配し、独自の消費者向けサービスや企業向けサービスを稼働させるためにそのテクノロジにアクセスする企業に、アクセスや安定性の責任を負担させる可能性がある
(Twitterの)重要性が、現在達している(あるいは達しつつある)ようなレベルだとすれば、それは、インターネット初期のイーサネットやTCP/IPのように、そして電子メールにおけるIMAPやPOPのように、より大規模なインフラストラクチャの一部と見なされるべきではないだろうか
Twitterに新たな正念場–サイト障害から考える今後の進むべき道 – CNET Japan

つまりTwitterをTwitter社が展開するサービスとするのではなく、メールのようにオープンなプロトコルとして公開するべきではないかというのです。OCNやニフティなどのプロバイダが会員のために、企業は自社の従業員のためにメールサーバを設置しています。GoogleもGmailという画期的なユーザインタフェースを持つサービスを提供すると同時に、Gmailのためのメールサーバを設置しています。メールがオープンプロトコルであるために、各社がバラバラに設置したメールサーバが協調動作して、全世界に広がるメールという仕組みを実現しているわけです。これと同じ仕組みをTwitterでも実現すればよいのではないかと、Ingram氏は主張しているのです。
これは実に画期的な提案です。実現するにはTwitter社の創業者の英断が必要であり、各企業の積極的な協力が欠かせません。ただ、それが実現したときはTwitterは世界共通の資産となります。Twitterがトラフィック問題と戦う必要はなくなり、我々はTwitterがなくなるという不安をなくすことが出来ます。おそらく、Twitter社の創業者は英雄となり、Twitter社はTwitterの今後を話し合うコミュニティの中核企業となって「それなり」の利益を手にすることが出来るでしょう。
Twitterがオープンプロトコルになることは当分ないでしょう。しかしTwitterのユーザ数は今後も増え続けるでしょうし、トラフィックとの戦いもしばらく終わることはないでしょう。いまのところ、我々はTwitter社の奮闘に期待するしかありません。

この記事を書いた人

井上 研一

経済産業省推進資格ITコーディネータ/ITエンジニア。株式会社ビビンコ代表取締役。
北九州市出身、横浜市在住。AIやIoTに強いITコーディネータとして活動。北九州市主催のビジネスコンテスト「北九州でIoT」に応募したアイディアが入選し、メンバーと株式会社ビビンコを創業。著書に「初めてのWatson」、「ワトソンで体感する人工知能」など。日本全国でAI・IoTなどをテーマにしたセミナーや研修講師での登壇多数。