年間利用件数5件の電子申請

2001年にe-Japan戦略が出されてから、実現に向かって動き出した電子政府。もう、7年が経ちますが、どれほど私たちに浸透したと言えるでしょうか。
私などは、行政書士を目指していたり、今の仕事がSEだったりするために、若干の興味を持っているわけですが、それがなければ、まったく興味のない話だったでしょう。

強いて言えば、住民基本台帳カード(写真付のBバージョン)を持っているくらいです。これは私が車の免許を持っていないためで、身分証明書として使っています。ハロプロのイベントでもたまに写真付身分証明書を求められるのです。でも、これで住民票を取ったりしたことはありません…。

さて、そんな電子政府ですが、電子申請の分野ではいくつかの具体例があるようです。しかし、すべてがそうだとは言わないまでも、全然使っていないシステムもあるようで…。

箱物行政よりヒドイ、使われない電子申請は今すぐ止めるべき – Manaboo 電子政府・電子申請コラム 
1 文部科学省オンライン申請システム 
・年間利用件数:5件
・申請1件当たりの経費:2814万9600円
・年間運用経費:1億4074万円

「年間利用件数:5件」って、なんだこれ?
しかも、年間運用経費に1億4千万円もかかっている。単純に月1千万円以上がかかっているわけですが、わずか5件の利用のために、何やってんだと…。
運用経費といっても、基本、人件費でしょう。仮に運用要員が人月100万円(←運用にしてはかなり高い?)としても、10人いることになる。でも、なんで年に5人が使うシステムのために年に120人月もかける必要がある?
これ、どっかで消えてないか?闇に消えたとまでは言わないとしても、おそらくかなりの搾取があちこちで働いているのではないかと思われます。本当に10人いたとしたら、暇で仕方ない現場ですね。たぶん。
で、そもそもそのシステムいくらで作ったんだ?ってことになりますが、あんまり考えたくもないな。

ところで、私の目指している行政書士業界においては、電子申請は期待半分、脅威半分といったところでしょうか。期待はうわべで脅威が本音?そうかもしれません。会社設立を専門にやっている人は、印紙税を浮かせるのでそれを売りにしている人もいるようです。でも、まぁ、それくらいか。
電子申請とはちょっと違いますが、内容証明郵便がオンラインで送れるので、それは便利かもしれませんね。

行政手続きが電子申請で簡単に出来るようになると、行政職員も、行政書士も、仕事が減って困るという脅威論があります。
でも、SEとしての経験から言えば、そう簡単になるものでもありません。たしかに、人間系のシステムを再度見直すと簡略化する方法が見つかることもあるし、せっかくシステムを作るのなら、今がチャンスだという思惑も働きます。
とはいえ、それがどの程度の結果につながるかというと、難しいところです。しかも、それが行政手続きであったとするならば、なおさら難しいでしょう。行政手続きというのは、国や地方自治体と私人の権利義務関係の調整、私人同士の利害の調整に行政が介入した結果として、出来たものです(原則論としては)。それをホイホイ変えていくのは無茶ではないかと思います。

そうなると、結果的に現行の書面の焼き直しに過ぎないシステムになる。いや、それでもシステム化する意味はあります。ちゃんとログが残るし、そもそも届け出に行く手間が省ける。何度も同じようなことを書く必要のある書面なら、それは入力を共通化出来るから便利だし間違いがありません。
でも、入力すべき内容は何も変わらないし、手続の応答としても、よほど簡単なものを除いては今までどおり人間が介在せざるを得ません。
結局、行政手続のエキスパートたる人材は必要不可欠。別に脅威でも何でもないはずです。

この記事を書いた人

井上 研一

経済産業省推進資格ITコーディネータ/ITエンジニア。株式会社ビビンコ代表取締役。
北九州市出身、横浜市在住。AIやIoTに強いITコーディネータとして活動。北九州市主催のビジネスコンテスト「北九州でIoT」に応募したアイディアが入選し、メンバーと株式会社ビビンコを創業。著書に「初めてのWatson」、「ワトソンで体感する人工知能」など。日本全国でAI・IoTなどをテーマにしたセミナーや研修講師での登壇多数。